心理学やコーチングの先生のためになるお話しや、新入生や企業の新人研修の時によく使われる有名な話を2つほど紹介します。
「ゆでガエル」と「ノミ」のお話です。
①「ゆでガエル」
「2匹のカエルを用意してAのカエルは熱湯の中にいきなり入れる、もう一方のBのカエルは水から入れてじわじわと温度を上げていく、2匹の環境の異なるカエルはその後どうなるでしょう?
Aカエルは、いきなり熱湯に入れられると慌てて飛び出して逃げるが、
Bのカエルは水温が徐々に上がるため温度変化に気づかず、生命の危機を感じないまま茹で上がって死んでしまう。
だから、自分の置かれている環境というものがとても大事なのです。
居心地の良いぬるま湯のような状態に慣れきってしまうと、変化に気づけずに致命傷を負ってしまうというビジネス上の教訓とされています。
これはゆでガエル理論、ゆでガエル症候群などと呼ばれるたとえ話で、元々は欧米で知られていました。 日本では1998年に出版された「組織論」(桑田耕太郎・田尾雅夫著、有斐閣アルマ刊)の中で、「ベイトソンのゆでガエル寓話」として紹介され、知られるようになりました。
今の勉強の仕方や仕事、今のやり方にある程度満足してしまった人は、変化を求めて、さらに上を目指そうという気持ちが薄れてしまう場合があるので、まさに“ぬるま湯に浸かった”状態です。外部の変化を意識することも減っていき、気づけば自分たちだけ取り残されて取り返しのつかない状態になってしまうことがあるから気を付けましょうというたとえ話。
カッコ良く言うと自己啓発のための教訓ですね。
「ゆでガエル現象」に陥らないよう、私たちは何に気をつけるべきなのでしょうか? 大前提は、自分や周囲を常に客観的な視点で見ることです。
「今、水温は何度なのか?」「自分はこのまま水の中にいるべきなのか?」と客観的に考えて、水が熱くなる前に脱出すること。私たちも「今、時代はどう変化しているのか?」「自分はこれからどうするべきなのか?」と常に現状を正確に把握することが大切です。
②「飛べなくなったノミの話」あるいは「ノミとコップの話」
ノミは数ミリしかない、とっても小さな生き物です。
その小さな体で、とても後ろ足が発達しているので、通常なら自分の体長 の60倍~200倍近くものジャンプ力を持つ力ある生き物でもあります。
このノミをコップに入れて実験をします。
体長が数ミリのノミでも、当然!コップくらいの高さならジャンプして飛び越えることが出来ます。
しかし、そのコップにガラスの蓋をしてノミがコップから出られないようにします。
当然ながら、ノミは何度も何度もジャンプしてコップを出ようとしますが、一向に抜け出せずにいます。
そして、しばらくしてからガラスの蓋を外して、ノミはコップの高さよりも高くジャンプすることが出来なくなっていました。
ノミ自身は、恐らく自分の飛べる「限界」を自分自身で決めてしまったのだろうと憶測出来ます。
・皆さんも考えてみてください。
Q、このノミをもう一度コップよりも高くジャンプさせるためにはどうすれば良いと思いますか?
A、もう1匹の高く飛べるノミをコップに入れることだそうです。
「飛べないノミ」も他の「飛べるノミ」を見ることでは飛べるようになるという事です。
いずれにしても、ノミは自分自身を取り戻し、コップを飛び越えられるようなれたワケですね。
我々人間も同様に限界を自分で決めていませんか?
どうぜ自分なんて・・・・・。
「無限の可能性」を信じて限界を決めずチャレンジして行きましょうというお話。
ところが、これはどちらも作り話!
どちらも、大嘘です。
茹で蛙の実験は、何度も再現実験をしてみたところカエルは熱くなるとサッサと逃げていくそうです。
ノミの方も、科学的な実験の話ではなく心理学でよく利用される喩え話です。
この2つの話から引き出せる教訓は何でしょうか?
それは、もっともらしい話であれば、人間は真偽を確かめないという事です。
特にこの2つの話は、経営者など社会的地位が高い人やコーチングやメンターが好んで使う傾向にあるようで
本人の信頼性も相まって、ますます真実味を帯びてきます。
しかし、これで本人のやる気が起きるのであれば素晴らしいマインドセットのお話となるので、真実を知らない人には使ってみるといいかもしれませんね。